会社や住まい、公共施設などを建設する建設業界の仕事は、人が生きていくうえで重要な役割を果たしています。しかし、建設業界の需要が高まる一方で、若年層の人手不足に悩まされていることも事実です。きつい、危険といったイメージを持たれる建設業界ですが、長く働くことで得られるさまざまな魅力があります。今回は、若年層に知ってほしい、建設業界の魅力とキャリアパス、建設業界を取り巻く現状について解説します。
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そもそも建設業界とは?
建設業界の仕事は「体力的にキツイ」「専門知識が難しい」といったイメージが強くありますが、大変な分だけやりがいや達成感も大きく、ほかの仕事にはない魅力があります。
建設業は建物や公共設備などの建設を通じて、街をつくる仕事でもあります。 街を豊かにすることは、災害や事故から人々を守ることにつながっています。建設業は人々の生活を支えるとともに、その時代の建造物を未来に残すという役割も果たしており、社会貢献度の高い仕事といえるでしょう。
さらに建設業界は設計者・現場監督・職人など、多様な専門職が協力しあって成り立っています。それぞれの仕事から刺激を受け合い、支え合いながら建物を完成させたときの達成感は、建設業界ならではの醍醐味だといえるでしょう。
◇建設業界が社会に担っている役割
日本は台風や豪雨、豪雪、地震などの自然災害が頻発するため、人々が安心安全、かつ快適に暮らすためには建設業界の存在が欠かせません。たとえば、道路・河川・橋梁などの大規模な建造物や社会資本整備やオフィスビル、高層マンションを含めた住宅・病院・学校などの生活に関わる施設について、災害発生時に復旧・復興には建設業界が大きな役割を果たします。
さらに、建設需要によって各種建設資材が消費されたり、工事に携わる従事者の雇用が増大したりといった経済効果も見逃せません。特に地方によっては主な雇用先が建設業と公共機関に偏ることも多く、建設業による雇用創出は社会に大きく貢献しています。
◇建設業界の代表的な分野
建設業界の企業は、ゼネコン、ハウスメーカー、工務店という3つの分野で成り立っています。
ゼネコン(ゼネラル・コンストラクター)は、建設工事や土木工事、設備工事などを行う総合建設業で、国や地方自治体、企業から建設業務を請負い、商業施設や超高層ビル、タワー、大規模な建造物の建設を手掛けています。橋やトンネル、駅や鉄道といった建造物駅や鉄道といった建造物が代表的です。
ハウスメーカーは、個人向け住宅の建築と販売を行う企業です。一戸建てはもちろん、アパートやマンションの集合住宅も手掛けています。ただし、販売を最優先にする企業が多く、施工は下請けの工務店などが行うことが一般的です。
工務店は、個人向け注文住宅やリフォーム施工などを行います。地域密着型の経営スタイルが多く、施工主と話し合いながら家を建てます。
建設業界の魅力
建築業界で働くことの魅力はさまざまありますが、仕事をするうえでの代表的なものを5つ紹介していきます。
1:ものづくりの楽しさを味わえる
建設業の現場はビルやマンションなど、基本的に何かしらの建物や建築物をつくります。
完成形を目標にプロセスを考え、自分の手を動かして何かをつくることが好きな人にとって、建設業は理想的な仕事といえるでしょう。 何もなかった更地の現場に完成した建物ができたときは、そこまでに積み重ねた努力の大きさを誇らしく思え、自分の仕事の価値を実感できます。
計画通りに作業を進めるものづくりが好きな人にとってはもちろん、そのときそのときのゴールに向かうことがやりがいに直結するタイプの人にとっても、達成感の大きな仕事といえます。
2:チームで仕事に取り組む喜びがある
建設業は、1つの案件に対して多くの企業や人々が関わり、1つのチームとなって建設物をつくり上げていく仕事です。
それぞれ担当する専門領域を持った仲間たちと知恵を絞りながらチームの目的に向かって進んでいくには、協調性やコミュニケーションが大切です。完成に近づくにつれ従業員やそのほかの企業の人達とも絆が生まれ、一緒に物事を成し遂げた喜びを感じることができるでしょう。建設業は、人と関わりながら仕事をする喜びが得られる職業だといえます。
3:建物・街が完成したときの達成感が大きい
どのような建物であれ完成に至るまで、その案件は1つのプロジェクトとして取り組まれ、現場監督や設計士、現場で作業する職人など、大勢の人が携わります。
施行中は建設に携わる者同士でさまざまなアイデアや意見を出し合うため、意見の対立が起こることもあるでしょう。しかし、そのようにして多くの人と協力し合いながら、時間をかけて1つの建物を完成させるプロセスには、ほかの仕事では味わえない喜びがあります。特に、街の景色にそれまでなかった建物が追加されたのを確認した際には、自分の仕事が誇らしくなるはずです。
4:高い社会貢献性を感じられる
建設業は、人が生活する住宅をつくったり、暮らしを支える土木インフラの設備を建造したりする仕事です。また、駅の開発や高速道路のリニューアル工事・テーマパークの建設といったビックプロジェクトもあります。個人住宅はもちろん、大規模商業施設や大規模開発・地図に残るような建物をつくる仕事は、人々の生活の利便性と安全性を提供しています。建設業は常に世の中から必要とされている、社会貢献性の高い仕事だといえます。
5:手に職がつく
建設業は、経験を積めば積むほど、自分の技術が磨かれる世界です。確実でクオリティの高い仕事ができるようになれば、さまざまな現場から依頼を受けるようになり、尊敬される存在になります。大規模な工事に携わる経験や需要の高い技術に精通していれば、会社に所属せずに一人親方になったり、企業で学んだノウハウを手に独立起業したりすることも可能です。
「いつかは手に職をつけて独り立ちしたい」と思う人にとっては、建設業界に入職するのは修業期間ともなり、夢の実現に向けた近道になるでしょう。
建設業の待遇・労働条件はよくなっている?
かねてより建設業界は就業者数が少なく、深刻な人手不足に陥っています。就業者が減少している要因には、賃金の低さと長時間労働が挙げられ、その背景には工期の長期化や資材の高騰など企業が抱える問題も存在します。
しかし近年では、政府を中心にした建設業界の「働き方改革」が進められており、労働環境はかなり改善してきています。また、建設業界は技能者の能力を高く評価する世界です。建設業団体と国交省が連携し、官民一体で推進している「建設キャリアアップシステム」など、技術者のスキルを上げていく働きもあるため、今後はさらに技能者としてのスキルアップ・キャリアアップもしやすくなり、処遇が改善されていくことが期待されています。
建築業界の市場規模と課題・将来性
現在の建設業界は、深刻な人手不足問題に直面しています。技術者の高齢化だけでなく、若者の入職者が増えないことも、人手不足の大きな要因です。
20代前半の建設業界の入職者は、1990年代と2010年代を比較すると約7割も減少しました。近年では東京オリンピックや災害復興事業など、建設需要の増加が高まり続ける一方、供給が追いつかないことも人手不足に拍車をかけています。
国土交通省はこのような慢性的な人手不足を解消すべく、待遇改善を軸にした4改革を打ち出しています。たとえば、建設業界に興味を持つ若者の応募者を増やすため、給料を高く設定する、社会保険を導入するなどです。
また、週休二日制の導入による長時間労働の是正、IoTや新技術導入による生産性の向上など、建設業を働きやすい仕事に変えていこうという動きがあります。特に若者の入職者を呼び込むために施される給与や休日などの待遇面改善により、建設業界は将来的にも期待が持てる仕事となるでしょう。
※建設業界の市場規模に関しては、以下の記事をご参照ください
「建設業界の市場規模ってどれくらい?東京オリンピック後の需要はどうなるの?」
まとめ
建設業界は人々と社会に貢献できる、やりがいのある仕事です。待遇改善が進められ、より働きやすい環境に変わりつつあります。人手不足により若者の需要が高くなっている今、建設業界への挑戦を検討してはいかがでしょうか。
今後の建設業界の動きについて知りたい、挑戦できるかどうか考えたいといった方はぜひ一度、専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。
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