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建設業界の市場規模・市場動向の現状とは?直面している課題と解決策も解説

更新:2024-05-30

建設業界の市場規模・市場動向の現状とは?直面している課題と解決策も解説

建設業界は、短中期的には需要が旺盛であるものの、人口減少に伴う長期的な市場縮小が予想されます。現在の課題としては、技能労働者の減少による人手不足、建設資材の高騰、そして長期的な人口減少が挙げられます。これらの課題に対しては、DXやロボット技術の活用による生産性の向上がキーとなります。また、ゼネコン各社は不動産開発や海外展開など、新たな成長の種を模索しています。

現在の建設業界の市場規模とは?

◇ほかの業界と比べ莫大な売り上げ規模

2023年度は鹿島建設が売上高でトップに立ち、大林組、清水建設、大成建設、そして非上場の竹中工務店が続いています。これらの企業は、いわゆるスーパーゼネコンと呼ばれ、5社だけの年間売上高が9.3兆円に達するなど、業界内で非常に高い影響力を持っているといえます。同様の売上規模を持つほかの業界としては、自動車製造業や電子機器製造業があります。

◇2023年度の建設投資額は70兆円

2023年度の建設投資額は、前年度比2.2%増の70兆3,200億円という内訳でした。このうち、政府投資は25兆3,400億円(前年度比4.5%増)、民間投資は44兆9,800億円(前年度比1.0%増)です。また、2024年度の建設投資は72兆4,100億円という見通しであり、政府投資が22兆5,300億円、民間投資が44兆4,600億円と予測されています。建設投資額は2012年あたりから右肩上がりとなっており、とくに近年では民間の建設投資が増加傾向にあります。

※国土交通省:令和元年度 建設投資見通しから引用

◇建設業界の市場動向について

なぜ建設業界は上昇傾向にあるのか

建設業界は2020年の東京オリンピック後の需要低下や新型コロナウイルスの流行、物価高騰などにより、苦境に立たされていました。しかし、近年は建設投資額が増加傾向にあるほか、労働環境の変化、人手不足の深刻化、短中期的な需要の安定、SDGsなど脱炭素化に向けた取り組みの活発化、2025年の大阪万博開催など、今後の動向には明るい側面があります。現在、これらの要因が複合的に作用して、建設業界は大きな転換期を迎えています。

東京オリンピック後、建設業界はどうなった?

オリンピック後の建築業界は、インフラ設備工事の増加、大規模修繕工事の実施、耐震工事の実施、そして校舎改修工事の取り組みなど、多岐にわたる動きが見られます。オリンピック開催に伴う一時的な中断を経て、公共工事は再び活発化し、老朽化した設備の更新や最新技術を用いたメンテナンスが予定されています。
また、オリンピックによる建築需要の高騰を避けた後の大規模修繕工事がスタートし、工事費用の落ち着きと共に需要が高まっています。建築業界での働き口は今後も増え続けることが予想されます。これらの動向は、建築業界における新たなチャンスと成長の機会を示しています。

インフラ設備の維持や耐震工事に需要あり

高度成長期に建設されたインフラの老朽化が進むなか、公共事業費の増加が見込まれています。2019年度からは、老朽化対策として維持や修繕に向けた投資が始まっており、今後20年間で50年以上の築年数を迎えるインフラが増えることから、建設需要は長期的に拡大すると予想されます。国土交通省は計画的なメンテナンスと予防に力を入れ、新技術の導入にも積極的です。一方で、大型地震のリスクに直面する日本では、オフィスビルや大型マンションの耐震工事の需要も高まっています。特に旧建築基準法に基づく建物では、耐震性の向上が急務とされ、専門家による耐震診断後の補強工事が必要とされています。

グラフ

自動的に生成された説明

※国土交通省:建設工事施工統計調査報告 平成29年度実績より引用

大手建設会社の海外展開の状況

スーパーゼネコンと呼ばれる大規模な建設会社では、依然として国内需要を確保しながら、海外展開を行っています。
海外進出組の大手3社である大林組、鹿島建設、清水建設は、それぞれの高い技術力と豊富な経験を活かし、世界各地で多岐にわたるプロジェクトに参画しています。
大林組は、カタールの旧市街地再開発やシンガポールの商業施設建設など、インフラ開発を中心に海外での事業を拡大しており、その売上はグループの重要な収益源となっています。
一方、鹿島建設は、オフィスやホテル、教育施設などの建設を通じて、「海外の鹿島」としての地位を確立し、グループ全体の約30%を占める売上を記録しています。
清水建設も1970年代から海外に進出し、東南アジアを中心に世界約60カ国での施工実績を持ち、各国の発展に貢献しています。これらの企業は、それぞれの強みを生かし、世界各地での事業展開を通じて、グローバルな建設市場での存在感を示しています。

建設業界が直面している課題

建設業界は人手不足、従事者の高齢化、生産性の低下、労働環境の問題という複数の課題に直面しています。特に、人手不足は1997年から就業者数が約7割減少し、高齢化問題では55歳以上が就業者の35.5%を占めるなど、深刻な状況です。生産性は他産業に比べて低く、デジタル技術の活用が急務とされています。また、2024年4月からの時間外労働の上限規制適用により、労働体制の見直しや働き方改革が求められています。これらの現状と解決方法について詳しく解説していきます。

1:労働人口の減少

建設業界の目下の課題は、深刻な人手不足でしょう。建設業の就業者数は2017年度で約500万人と、ピークである1997年から約7割まで減っているのが実情です。ベテランの就業者の引退が避けられないため、人手不足に拍車がかかると予想されます。地方では若者の数も少ないうえに、建設業界の知名度の低さから人手不足がさらに深刻な状況です。

また建設業界に興味を持つ若者が減っていることも人手不足の大きな要因でしょう。建設業界は「きつい・汚い・危険」というイメージがいまだにあり、若者の就職者が増えない状況が続いています。
週休2日制が定着していない、長時間労働、賃金の低さなど、若年層の離職につながる要因もあり、人手不足の解消を目指すには、労働環境や雇用の改善が急務といえるでしょう。

2:従事者の高齢化

建設業界が抱える課題のなかでも、高齢化が深刻な状況にあります。2021年の建設業就業者のうち55歳以上が35.5%を占め、全産業平均の31.2%よりも4.3ポイント高い数値を示しています。

高齢化は労働力不足をさらに悪化させる要因となっており、建設業界全体の生産性向上や持続可能な発展に向けた大きな障壁となっています。さらに、2024年4月からは時間外労働の上限規制が建設業界にも適用されたことで、限られた人材での効率的な業務遂行が求められるなか、実効性の高い高齢化対策がより一層求められています。

3:生産性の低下

建設業界は、生産性の低下という大きな課題に直面しています。他産業と比較してもその傾向は顕著であり、2020年のデータでは全産業平均の労働生産性が4,412円/人・時間であるのに対し、建設業は3,075円/人・時間となっています。

効率的な業務遂行体制の構築や競争力維持に向けた改善が急務であり、その解決策として「建設DX」といったデジタル技術の活用が注目されています。しかしDXの進展には設備投資や長期的な取り組みが不可欠であることから、中小企業や業界の担い手として一角を形成してきた「一人親方」などの小規模事業主なども取りこぼさない、業界全体を巻き込む改革が求められているといえます。

4:労働環境の問題

建設業界は時間外労働の上限規制が2024年4月から適用されたことにより、労働体制の見直しが急務となっています。対応の遅れは、プロジェクトの遅延や品質の低下を引き起こす可能性があります。さらに、労働環境の厳しさが増長され、若年層の業界離れや人材不足をさらに深刻化させる要因ともなるでしょう。このような状況を改善するためには、働き方改革の推進や、よりよい労働環境の提供が不可欠です。

建設業界の課題を解決する方法はある?

建設業界はさまざまな課題がありますが、近年その状況は大きく変わりつつあります。
改革のベースとなっているのは、国土交通省が策定した「建設業4改革加速化プログラム」です。このプログラムにより、業界をあげて週休二日制の確保、技能者の適正な処遇、社会保険への加入推進などが進み、労働環境が改善されてきました。

具体的な成果の1つは、公共工事における週休二日制の導入です。現在ではすべての地方公共団体の公共工事で週休二日制が実施されており、今後は民間工事への拡大が進められています。

社会保険への加入も進んでいます。建設業の許可を受けるには社会保険加入が要件となったことで、新たに建設業を開始する企業は100%社会保険に加入することになりました。すでに許可を得ている企業は許可更新時に社会保険加入が必須となり、業界全体で社会保険加入状況が改善しています。
技能者の適正な処遇実現への取り組みとしては、「建設キャリアアップシステム」の構築と活用です。これは業界横断的な技能者の能力評価制度で、保有資格や経験現場、役割などがデータベース化され、会社員以外の個人事業主も対象となります。登録者数は着実に増加しており、転職や出向、独立も多い建設業にあっても、継続的なキャリアアップができる環境が整いつつあります。

これらの取り組みを通じて、建設業界は労働環境の改善と生産性の向上を目指し、業界のイメージ改善と人材確保に努めています。こうした取り組みが建設業界に新たな風を吹き込み、よりよい働き方と業界の持続可能な発展を目指すものとして進行しています。

まとめ

建設業界の業績は、災害復興や都市部の再開発などの要因で、近年高水準をキープしています。しかし、建設業界の発展とは裏腹に、深刻な人手不足が大きな課題です。その対策として、業界全体で働き方改革が進んでおり、長時間労働や低賃金の見直しなど環境改善が期待できるでしょう。
人手不足の建設業界に挑戦するのは今がチャンスといえます。建設業界に強いアドバイザーに相談して、建設業界での活躍を目指してみてはいかがでしょうか?

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