ゼネコンへの就職・転職を考えるなかで、「全国転勤が多いのではないか」「結婚後も働き続けられるのか」と不安を感じる人もいるでしょう。
ゼネコンでは、担当する工事現場が変わることは珍しくありません。ただし、すべての異動で引っ越しが必要になるわけではなく、転勤の範囲や頻度は企業規模、職種、採用区分によって異なります。
この記事では、ゼネコンで転勤が発生しやすい理由や企業規模・職種による違い、勤務地を限定して働く方法を解説します。
2025年に大手ゼネコンで進んだ転勤手当や勤務地選択制度の見直しについても紹介します。
ゼネコンは転勤が多い?
全国で事業を展開する大手ゼネコンでは、転居を伴う転勤が発生する可能性があります。
特に、全国型の総合職として採用された施工管理職は、担当する工事や支店の人員配置に応じて勤務地が変わることがあります。
一方、地域を限定して事業を展開するゼネコンや勤務地限定の採用区分を選んだ場合は、異動範囲が一定の地域内に限られるケースも珍しくありません。
なお、建設業界では「担当現場が変わること」と「転居を伴う転勤」が同じ意味で使われることがあります。
次の現場へ異動しても、自宅から通勤できる範囲であれば、必ずしも引っ越しが必要になるわけではありません。
- 担当現場が変わる頻度
- 配属される支店や事業所が変わる可能性
- 転居を伴う異動が発生する範囲
ゼネコンで転勤が発生しやすい理由
ゼネコンでは、受注した工事ごとに必要な技術者や担当者を配置します。
工事が完成すると、施工管理などの現場担当者は次の工事へ配置されるのが一般的です。
建築工事や土木工事の期間は、工事の規模や種類によって大きく異なります。数ヶ月で完了する工事もあれば、大規模な再開発やインフラ工事のように数年にわたる工事もあります。
そのため、「数年ごとに必ず転勤する」と一律に決まっているわけではありません。会社の受注状況や本人の職種、担当工事の工期、各支店の人員配置などによって異動時期が決まります。
全国や海外で工事を受注する企業ほど配置先の選択肢が広いため、転居を伴う転勤が発生する可能性も高くなります。
ゼネコンの転勤事情は企業規模によって異なる
ゼネコンの転勤範囲は、会社の営業エリアや支店網によって異なります。企業規模別の一般的な傾向は次のとおりです。
| 企業規模 | 転勤の傾向 |
|---|---|
| スーパーゼネコン・準大手ゼネコン | 全国に支店や工事現場を持つ企業が多く、全国転勤や海外勤務の可能性がある |
| 中堅ゼネコン | 全国展開する企業もあるが、特定の地方や営業エリアを中心に異動する企業もある |
| 地場ゼネコン | 主な営業地域が限定されているため、転居を伴う遠方への転勤は比較的少ない |
| 勤務地限定採用のある企業 | 定められた支店管轄地域やエリア内での勤務が中心となる |
これはあくまで一般的な傾向です。中堅ゼネコンでも全国に拠点を持つ会社がある一方、地域密着型の企業でも施工エリアによっては出張や長期出張が発生します。
求人を見る際は、会社の規模だけで判断せず、募集要項に記載された「転勤の有無」「勤務地の範囲」「採用区分」を確認しましょう。
職種によっても転勤の頻度は異なる
ゼネコンでは、職種によって主な勤務場所が異なります。一般的には、工事現場を勤務場所とする職種ほど、勤務地が変わる可能性が高くなります。
施工管理
施工管理は、担当する工事現場で工程・品質・原価・安全などを管理する仕事です。
工事が完成すると別の現場を担当するため、ゼネコンの職種のなかでは勤務地が変わりやすい傾向にあります。
ただし、現場が変わるたびに転居するとは限りません。同じ支店の管轄内や自宅から通勤できる範囲で、複数の現場を担当するケースもあります。
設計・積算
設計や積算は、本社や支店のオフィスを主な勤務場所とすることが多い職種です。
施工管理と比べると、工事の完成に合わせて勤務拠点を移るケースは少ない傾向にあります。
ただし、会社の人事異動によって本支店間の転勤が発生したり、設計監理などで工事現場へ出張したりする可能性はあります。
技術開発・研究職
技術開発や研究職は、技術研究所や特定の開発拠点に勤務するケースが中心です。そのため、現場勤務を中心とする施工管理よりも勤務場所が変わりにくい傾向にあります。
ただし、研究開発部門への配属は募集人数が限られることが多く、希望すれば必ず配属されるとは限りません。
営業・管理部門
営業職や人事・経理などの管理部門は、本社や支店間での異動が中心です。
全国に支店がある会社の全国型総合職では、職種にかかわらず転勤の対象になる可能性があります。
大林組の「全国型職員」と「拠点型職員」
大手ゼネコンのなかには、勤務する地域を限定できる採用区分を設けている企業があります。
大林組では、職員を「全国型職員」と「拠点型職員」に区分して採用しています。エントリーシートを提出する際に、いずれかの勤務区分を選択する仕組みです。
| 区分 | 勤務地 | 給与水準 |
|---|---|---|
| 全国型職員 | 国内・海外を含め、勤務地を限定しない | 全国型職員の基準を適用 |
| 拠点型職員 | 選択した本支店の管轄地域内 | 全国型職員の80~90% |
拠点型職員は勤務地が本支店の管轄地域内に限定されますが、管轄地域内での転勤はあります。
転勤そのものがなくなる制度ではなく、勤務する地理的な範囲を限定する制度と考えるとよいでしょう。
また、拠点型職員の給与は、勤務地域の生計費などを考慮した地域係数により、全国型職員の80~90%に設定されています。
勤務地限定の採用区分を選ぶ場合は、転勤範囲だけでなく、給与や昇進、区分変更の条件も確認することが大切です。
2025年に大手ゼネコンで進んだ転勤待遇の見直し
転居を伴う転勤は、本人だけでなく、配偶者の仕事や子どもの教育、介護などにも影響します。
人材確保が課題となるなか、転勤する社員への金銭的支援や勤務地選択制度を見直す企業が出てきました。
大成建設は転勤一時金を最大100万円に
大成建設は2025年7月、転勤者に支給する一時金制度を開始しました。金額は移動距離や家族の帯同状況などに応じて異なり、5万円から最大100万円とされています。
| 改定内容 | 概要 |
|---|---|
| 転勤一時金 | 移動距離や帯同家族の有無などに応じて最大100万円 |
| 別居手当 | 単身赴任者に対する月額手当を拡充 |
| 帰省費用補助 | 対象となる帰省回数や金額を拡充 |
| 勤務地選択制度 | 全国型に加え、一定の地域内で勤務するエリア型を整備 |
| 転勤回避制度 | 育児や介護などの事情がある社員が、一定期間転勤を回避できる制度を整備 |
出典:日本経済新聞「大成建設、転勤者に最大100万円 人材確保へ制度改革」
制度の適用対象や支給条件は、雇用区分や個別事情によって異なる可能性があります。就職・転職時には、最新の募集要項や会社の説明を確認してください。
転勤を受け入れる条件では金銭的な支援が重視されている
パーソル総合研究所の「転勤に関する定量調査」では、転勤を受け入れる条件として、毎月の手当や一時金などの金銭的支援が上位に挙げられています。
同調査では「毎月の手当が十分に支給される」が49.0%で最も高く、本人が希望する仕事や勤務地であること、転勤理由について十分な説明があることなども重視されていました。
転勤制度を確認する際は、単に「転勤あり・なし」だけを見るのではなく、次のような条件まで比較することが重要です。
- 転勤一時金や赴任手当の金額
- 引っ越し費用の負担範囲
- 社宅や家賃補助の有無
- 単身赴任手当の金額
- 帰省費用の支給回数と上限
- 勤務地を選択・変更できる制度
- 育児や介護を理由とする転勤免除制度
ゼネコンの転勤時に利用できる福利厚生
転勤に伴う経済的な負担を軽減するため、ゼネコンでは赴任に関する福利厚生を設けている場合があります。代表的な制度は次のとおりです。
- 引っ越し費用の会社負担
- 敷金・礼金などの初期費用の補助
- 社宅や独身寮の提供
- 借り上げ社宅や家賃補助
- 赴任手当や転勤一時金
- 単身赴任手当
- 帰省交通費の補助
ただし、会社がすべての費用を負担するとは限りません。
荷物の量や家族構成、異動距離、利用する引っ越し業者などに条件が設けられていることがあります。
特に中途採用では、新卒採用と福利厚生の適用条件が異なる可能性もあるため、内定承諾前に確認しておくと安心です。
ゼネコンの転勤は結婚や家庭生活にどう影響する?
転居を伴う転勤がある働き方では、結婚後の住居や配偶者の仕事、子どもの教育環境について考える必要があります。
家族で転居するか単身赴任を選ぶかは、次のような条件によって異なります。
- 配偶者が勤務地を変えられるか
- 子どもの年齢や通学状況
- 持ち家があるか
- 転勤先で生活する期間
- 単身赴任手当や帰省費用の水準
- 親族の介護や育児支援が必要か
例えば、子どもが小さいうちは家族で転居し、就学後は生活拠点を固定して単身赴任を選ぶ家庭もあります。
一方、配偶者のキャリアを優先し、当初から勤務地限定の会社や職種を選ぶ人もいます。
最適な選択は家庭によって異なります。入社前に転勤制度を確認し、将来の家族構成やライフプランについてパートナーと話し合っておくことが大切です。
ゼネコンで転勤を避けて働く方法
ゼネコンで働きながら転居を伴う転勤を避けたい場合は、会社や職種の選び方を工夫する必要があります。
勤務地限定の採用区分を選ぶ
「エリア総合職」「地域限定職」「拠点型職員」など、勤務地を一定の範囲に限定した採用区分を選ぶ方法です。
ただし、限定された地域内での転勤や現場異動が発生することはあります。給与や昇進条件が全国型と異なる会社もあるため、制度全体を確認しましょう。
地域密着型のゼネコンを選ぶ
営業地域が限られている地場ゼネコンは、全国展開する大手ゼネコンよりも遠方への転勤が少ない傾向にあります。
ただし、県外工事への出張や現場近くでの一時的な滞在が発生する可能性はあります。
求人票だけで判断せず、施工エリアや過去の工事実績も確認するとよいでしょう。
内勤を中心とする職種を検討する
設計や積算、技術開発など、本社・支店での勤務を中心とする職種は、施工管理よりも現場の変更に伴う異動が少ない傾向にあります。
- 全国型総合職として採用される場合は、職種を問わず本支店間の転勤対象になる可能性があります。職種名だけでなく採用区分もセットで確認しましょう。
発注者側や建設関連企業も検討する
勤務地を優先する場合は、ゼネコン以外の選択肢もあります。
例えば、自治体や鉄道・道路会社などの発注者、地域を限定して事業を展開する不動産会社、建設コンサルタント、設備管理会社などが候補です。
ただし、ハウスメーカーやデベロッパーでも全国転勤がある企業はあります。「発注者側なら転勤がない」とは限らないため、企業ごとの勤務制度を確認してください。
求人の検索条件を細かく設定する
求人サイトで「転勤なし」「勤務地限定」「地域限定社員」などの条件を設定すると、希望に近い求人を探しやすくなります。
ベスキャリ建設では、「勤務地限定」「土日休み」などの条件で求人を検索できるほか、非公開求人も含めて希望に合った求人をご紹介しています。
転勤範囲や勤務地制度など、求人票だけでは分かりにくい情報も確認しながらご案内しますので、転職を検討している方はぜひご相談ください。
\ 転勤なし・希望エリアの求人を探すなら /
ベスキャリ建設では、専任のアドバイザーがご希望の勤務地や労働条件に合わせた求人をご提案いたします。
まずはお気軽にご相談ください。
ゼネコンの転勤についてよくある質問
Q. ゼネコン業界はなぜ転勤が多いのですか?
A. ゼネコンでは、受注した工事ごとに技術者や担当者を配置するためです。工事が完成すると次の現場へ配置されることがあり、全国に工事現場を持つ企業ほど勤務地が変わる可能性が高くなります。ただし、自宅から通勤できる範囲であれば転居は必要ありません。
Q. ゼネコンの転勤頻度はどのくらいですか?
A. 一律の頻度は決まっていません。担当する工事の期間、会社の受注状況、所属支店、職種などによって異なります。施工管理は工事の完成に伴って現場が変わりやすい一方、設計や積算、研究職は同じ拠点で勤務する期間が比較的長い傾向にあります。
Q. 大林組に転勤はありますか?
A. あります。全国型職員は国内外で勤務する可能性があります。拠点型職員は選択した本支店の管轄地域内に勤務地が限定されますが、その管轄地域内での転勤はあります。
Q. 大成建設に全国転勤はありますか?
A. 全国型の勤務区分では、全国転勤が発生する可能性があります。
一方、2025年に制度改定が行われ、エリア型の区分や転勤回避制度が整備されました。また、転勤一時金についても条件に応じて最大100万円へ拡充されています。
出典:日本経済新聞「大成建設、転勤者に最大100万円 人材確保へ制度改革」
Q. 転勤なしと記載された求人なら出張もありませんか?
A. 出張や現場近くでの長期滞在が発生する可能性はあります。
「転勤」は所属する勤務地が変わることを指し、一時的な「出張」とは区別されます。求人票では出張の範囲や宿泊頻度も確認しましょう。
まとめ
ゼネコンでは、工事の完成や人員配置に伴って担当現場が変わることがあります。
全国に支店や工事現場を持つ大手ゼネコンの全国型職員は、転居を伴う転勤が発生する可能性もあります。
ただし、転勤の範囲や頻度は会社の規模だけでなく、採用区分や職種、所属支店によって異なります。
勤務地限定制度を利用したり、地域密着型の企業や内勤中心の職種を選んだりすることで、遠方への転勤を抑えられる場合があります。
ベスキャリ建設では、勤務地や転勤の有無などの希望条件に合った建設業界の求人を探せます。
転勤を避けながらこれまでの経験を活かしたい方は、専任のアドバイザーへお気軽にご相談ください。