施工管理は「残業が多い」「毎日遅くまで働く」といったイメージを持たれやすい仕事です。
実際に、厚生労働省の統計でも建設業は全体平均より残業が長い傾向があり、工程調整や書類対応が重なる時期は時間外労働が増えやすいと言われています。
その一方で、働き方改革が進み、残業を抑えた職場も増えてきました。設備施工や保守メンテナンスなど、残業が少ない仕事を選ぶことも可能です。
この記事では、施工管理の平均残業時間や、残業が多い理由、残業時間を減らすポイントについて解説します。
今の働き方に不安を感じている方や、転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
施工管理は残業が多い・平均残業時間が長い?

厚生労働省の統計では、建設業全体の所定外労働時間は月13〜15時間前後ですが、施工管理はこれを上回る傾向にあります。
また、近年の働き方改革で労働時間削減の取り組みが進んでいる点も合わせて確認しましょう。
施工管理の平均残業時間
厚生労働省の統計によると、建設業に従事する一般労働者の所定外労働時間(残業時間)は月13〜15時間程度です。
一方で、施工管理の担当者は工程管理・トラブル対応・書類業務など業務範囲が広いため、月30〜40時間程度に達する場合が多いとされています。
また、比較的体制が整っている企業では月15〜25時間程度まで抑えられているケースもあります。
つまり、施工管理は建設業全体より残業が長くなりやすい職種ですが、企業・現場によって差があるといえるでしょう。
出典:建設業における働き方改革の積極的な取組についてご紹介します
出典:建設業界の働き方改革に向けた 国土交通省の取り組み
出典:建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省
繁忙期と閑散期によって残業時間は大きく変わる
施工管理の業務負荷は繁忙期と閑散期で大きく変動します。
竣工直前や工程遅れが発生した期間は、現場対応・是正処理・書類整理が集中し、残業時間が増えやすい時期です。
また、天候不良や災害対応が発生すると、突発的な長時間労働になることもあります。
一方で、工程が安定し段取りの整っている時期は残業が抑えられるため、1年を通して時間外労働に波があるのが施工管理の特徴です。
ゼネコン・ハウスメーカーなどの職種別・会社規模別の残業の違い
施工管理の残業時間は、働く企業の業態や担当分野によって大きく異なります。
下表では、ゼネコンやサブコン、ハウスメーカー、中小工務店など、代表的な勤務先別に「残業が増えやすい背景」と「働き方の特徴」を整理しました。転職や職場選びの参考にしてください。
| 区分 | 残業の傾向 | 特徴・背景 |
|---|---|---|
| ゼネコン(総合建設会社) | 繁忙期は長時間になりやすい | 大型案件を担当することが多く、工程管理・関係者調整・書類業務の比重が大きい。 |
| 設備・電気などの専門工事会社 | 案件数により波が大きい | 空調・給排水・電気など特定分野に特化し、複数現場を並行して担当する場合もある。 |
| ハウスメーカー | 比較的安定した勤務が多い | 戸建住宅が中心で工程が標準化されており、業務マニュアルや分業体制が整っていることが多い。 |
| 中小工務店 | 担当範囲が広く残業増の傾向 | 人員体制が限られ、現場管理から書類作成・発注業務まで幅広い業務を任されるケースが多い。 |
| ICT活用・働き方改革推進企業 | 比較的残業は抑えやすい | 電子黒板・クラウド管理などにより、写真整理・書類作成の効率化が進んでいる。 |
施工管理は残業代がでないって本当?

施工管理は「残業代が出にくい」という声もありますが、法律上は残業代の支払いが原則必須です。
固定残業代(みなし残業)が給与に含まれている場合でも、規定時間を超えた分は追加で支払われる必要があります。
一方で、管理監督者扱い・裁量労働制など制度の理解不足や、申請しづらい職場環境が原因で未払いが生じるケースもあります。就業規則や雇用契約を確認し、不明点は会社へ相談することが大切です。
施工管理の残業が多いと言われる5つの理由
施工管理は「残業が多い」と言われることがありますが、その背景には業務の性質があります。
工程管理や安全管理、関係先との調整、トラブル対応、書類作成まで幅広い業務を担うため、就業時間内に収まりにくいことがあるためです。
特に竣工前や工程が遅れている現場では、時間外労働が増えやすい傾向にあるでしょう。
- 1. 工程管理に追われるため
- 2. トラブル対応が突発的に発生するため
- 3. 書類作成や写真管理の業務量が多い
- 4. 職人・施主・社内調整など人との調整が多い
- 5. 現場によっては休日出勤が発生することも
① 工程管理に追われるため
施工管理は、工事が計画どおり進むように工程を管理する役割を担っています。
現場では天候や納期、作業人数の変動など、さまざまな予期せぬ要素が発生するため、遅れを最小限に抑えるための調整が必要になることも少なくありません。
その結果、翌日の段取りを勤務時間外まで持ち越してしまうケースが生じやすいと言えるでしょう。
② トラブル対応が突発的に発生するため
資材の納入遅延や施工不具合、設備トラブル、近隣対応など、現場では突発的な出来事が発生することがあります。
緊急度が高い場合も多く、当日の予定が大きく崩れることも珍しくありません。
その影響で対応が長引き、結果的に定時を超えて業務が続くことにつながりやすいのです。
③ 書類作成や写真管理の業務量が多い
施工管理は現場対応だけでなく、施工計画書、工程表、安全書類、検査書類、出来形写真の整理など、事務業務も多く抱えています。
日中は現場対応が中心になりやすいため、デスクワークは夕方以降に回りがちです。こうした構造的な事情から、結果として残業時間が増えやすくなると言えるでしょう。
④ 職人・施主・社内調整など人との調整が多い
現場には多くの関係者が関わっており、施工管理は各方面をつなぐ調整役となる立場です。
職人や設計担当、メーカー、社内スタッフ、施主との打ち合わせや確認作業が多く、連絡・調整業務にも一定の時間を要します。
日中は対面対応が中心になるため、書類作成を後回しにせざるを得ない場合もあり、それが残業につながる要因の一つと言えるでしょう。
⑤ 現場によっては休日出勤が発生することも
工期の都合や立ち会い対応、引き渡し準備などが重なると、休日に業務対応が必要となる場合があります。
もちろん全ての現場で起こるわけではありませんが、繁忙期や人員体制が限られている現場ほど発生しやすい傾向です。
代休の取得制度が整っていない場合、実質的な労働時間が長くなり、負担が大きくなることもあるでしょう。
施工管理の残業を減らすためにできること

施工管理の仕事は業務範囲が広く、残業が増えやすいと言われます。
しかし、勤務先や配属先の特徴によって働き方には大きな差があります。
職場選びや案件選びを意識することで、無理のない働き方に近づける可能性があります。
① ICT施工・BIM導入の現場を選ぶ
ICT施工やBIMを導入している現場では、測量や図面修正、出来形管理などの効率化が進んでいます。
従来は手作業だった工程がデジタル化されることで、事務作業の負担が軽減されるケースも少なくありません。
生産性向上に力を入れている企業ほど、残業抑制につながりやすいと言えるでしょう。
② 大手建設会社・ハウスメーカーは働き方改革が進みやすい
近年では、大手の建設会社やハウスメーカーほど労務管理の仕組みが整っている傾向があります。
勤怠の可視化や残業申請ルールの徹底、週休二日制の推進など、会社全体で働き方改革に取り組んでいる場合も多いです。
制度面が整っている環境を選ぶことも、一つの有効な方法でしょう。
③ 複数現場担当は避ける
一人で複数現場を掛け持ちしていると、移動時間や調整業務が増え、どうしても業務が圧迫されやすくなります。
可能であれば一現場専任の配属を希望したり、担当範囲を明確にしてもらうことが大切です。入社前や配属前に体制を確認しておくと安心でしょう。
④ 年度末案件を避ける
公共工事などでは年度末に工期が集中しやすく、竣工間際は残業が増える可能性があります。
転職や配属のタイミングによっては、繁忙期と重なることで負担が大きくなる場合もあります。
可能であれば、案件のピーク時期を踏まえてスケジュールを検討するのも一つの工夫です。
⑤ 残業管理体制が整っている会社へ転職する
会社ごとに残業への向き合い方は異なります。
固定残業の超過分が正しく支払われるか、申請しやすい雰囲気か、勤怠管理が電子化されているかといった点は重要です。
面接時に体制を確認したり、口コミや求人情報を参考にしながら、無理のない働き方を目指せる環境を選ぶことが大切でしょう。
施工管理で残業が少ない働き方・会社の特長

同じ施工管理でも、担当分野や企業の体制によって残業時間は大きく異なります。
工程が安定しやすい業務や、労務管理が整っている会社では、比較的落ち着いた働き方ができるケースもあります。自分に合った働き方を見極めることが大切と言えるでしょう。
残業が比較的少ないケース
以下のような分野は、比較的工程が読みやすく、突発対応が少ない傾向があります。
- ✓ 設備施工(更新工事・リニューアル案件など)
- ✓ 保守・メンテナンス業務
- ✓ 公共工事の一部(適正工期が意識されている案件 など)
もちろん現場状況によって例外はありますが、定型業務が多い業態ほど残業が抑えられやすいと言えるでしょう。
求人票で確認すべきポイント
残業の少ない環境を選ぶためには、求人票のチェックが欠かせません。次の項目を確認しておくと判断しやすくなります。
- ✓ 平均残業時間の明記があるか
- ✓ 有給取得率・取得実績
- ✓ 直行直帰の可否
- ✓ ICT活用(BIM/勤怠システムなど)
- ✓ 複数現場担当の有無
数字や制度がしっかり開示されている企業ほど、労務管理が整っている可能性が高いでしょう。
施工管理の残業がつらい・辞めたいと感じたときの選択肢

長時間労働や心身の負担から、「このまま続けていけるのだろうか」と不安を感じる施工管理の方も少なくありません。
無理に我慢を続けるよりも、まずは環境を見直したり、キャリアの選択肢を冷静に整理することが大切です。働き方を変えることで、同じ業界でも負担を軽くできる可能性があります。
同職種で環境を変える
施工管理の仕事自体は好きでも、配属先や体制、会社の文化によって働きやすさは大きく変わります。
ICT化が進んでいる企業や、一現場専任体制の会社、労務管理がしっかりしている職場へ移ることで、残業や精神的負担が軽減されるケースも少なくありません。
同じ施工管理のまま「環境だけを変える」という選択肢も十分に現実的と言えるでしょう。
施工管理スキルを活かしてキャリアチェンジ
現場で培った段取り力・折衝力・安全管理の知識は、ほかの職種でも高く評価されます。
たとえば、設備・建築の保守メンテナンス、施工図・設計補助、不動産管理、建設コンサルなどへのキャリアチェンジは比較的スムーズです。現場より残業が少ない働き方を選べる場合もあります。
残業時間が少ないホワイト企業へ転職したい施工管理者必見

「同じ施工管理でも、もっと無理のない働き方がしたい」という方は、残業体制や勤務制度まで踏み込んで求人を選ぶことが重要です。
平均残業時間・有給取得実績・直行直帰の可否・ICT活用など、労務管理が可視化されている企業ほど、働きやすい傾向があります。
ベスキャリ建設では、建設業界に特化したキャリアアドバイザーが、残業時間や働き方も含めた条件整理をサポートします。
プロのキャリアアドバイザーへの無料相談を実施しているため、まずは今の悩みや希望を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
施工管理の残業に関するよくある質問

施工管理の残業については、働き方や現場ごとの体制によって実態が大きく異なります。
「毎日残業する必要があるのか」「平均残業時間はどれくらいか」「未経験だとどうなるのか」など、気になる疑問をQ&A形式でまとめました。
転職や働き方の見直しを検討する際の参考にしてみてください。
Q. 施工管理は毎日残業がありますか?
A. 毎日必ず残業が発生するわけではありませんが、定時で終われる日が少なめの現場もあるのが実情です。
工程が安定している時期は早く帰れる日もありますが、竣工前やトラブル対応が重なると時間外労働が増えやすいでしょう。会社の体制や担当現場による差が大きい職種といえます。
Q. 施工管理の月の残業時間はどれくらい?
A. 厚生労働省の統計によると、建設業全体の平均残業時間は月13〜15時間程度です。
ただし、施工管理は工程管理・調整業務・書類対応が多く、月30〜40時間程度になるケースも珍しくありません。
一方で、労務管理が整った企業では15〜25時間程度に抑えられている場合もあります。
Q. 残業が少ない施工管理の働き方は?
A. 比較的残業が少ない傾向にあるのは、設備施工や保守メンテナンス、工期が安定している一部の公共工事などです。
また、ICT活用や勤怠管理が進んでいる企業、複数現場担当ではない職場も残業を抑えやすいでしょう。求人票の制度面も合わせて確認することが大切です。
Q. 未経験から施工管理者になると残業は多くなりますか?
A. 未経験でも、必ずしも残業が増えるとは限りません。
ただし、慣れるまでは学習や事務作業に時間がかかり、上司の同行で拘束時間が増えることはあります。
教育体制が整った企業ほど負担が分散されやすく、サポートを受けながら成長できる環境を選ぶことが重要でしょう。
Q. 固定残業20時間ってやばい?
A. 「固定残業20時間」とは、毎月20時間分の残業代があらかじめ給与に含まれているという意味です。
適法な制度ですが、20時間を超えた分は追加支給される必要があります。
一方で、実態として毎月40時間以上の残業が常態化しているのに、固定残業だけで処理されるのは望ましくありません。給与明細と就業実態の両方を確認することが大切です。
Q. 設備施工管理の残業時間は?
A. 設備施工管理は、リニューアル案件や定期更新工事など、工程が比較的読みやすい分野も多く、建築主体の現場より残業が少なめになるケースがあります。
ただし、商業施設の夜間工事やトラブル対応が発生する職場では、逆に不規則な勤務になることもあります。配属先の業態によって大きく変わるでしょう。
Q. ゼネコンで残業が多いのはなぜですか?
A. 大手建設会社や総合建設会社では、工事全体の管理・関係者調整・品質管理まで広い範囲を担当するため、業務量が多くなりやすい傾向があります。
竣工前は対応が集中するため、残業が増える場合もあります。
一方で、近年は働き方改革が進み、勤怠管理の厳格化や週休二日制の導入が進む企業も増えてきました。
まとめ:施工管理は残業が多いが働き方は選べる
施工管理は工程管理や調整業務が多く、全体として残業が発生しやすい仕事と言えます。
しかし、企業規模や担当分野、ICT化の進み具合などによって、働き方には大きな違いがあります。
設備施工や保守メンテナンスなど、比較的残業が少ない選択肢もあります。無理を続けて心身を削るより、職場環境やキャリアの方向性を見直すことも大切でしょう。
自分に合った働き方を選ぶことで、施工管理として長く活躍していく道は十分にあります。