ゼネコンへの就職を考える際、「初任給はどのくらいなのか」「スーパーゼネコンと中堅ゼネコンで差はあるのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。
近年は建設業界全体で若手人材の確保が課題となっており、大手ゼネコンを中心に初任給を引き上げる動きが見られます。
とくにスーパーゼネコンでは、大卒で月給30万円、修士了で月給32万円前後がひとつの目安です。
ただし、実際の給与は学歴だけでなく、全国型・地域型といった採用区分、現場勤務の有無、手当、昇給制度によっても変わります。
本記事では、ゼネコンの初任給の目安やスーパーゼネコン5社の比較、給与を見るときの注意点をわかりやすく解説します。
- ✓ ゼネコンの初任給の目安
- ✓ 大卒・大学院卒・高専卒など学歴別の初任給の違い
- ✓ スーパーゼネコンの初任給引き上げの動き
- ✓ 施工管理・設計・事務系など職種や働き方による給与の違い
スーパーゼネコン5社の初任給を比較
スーパーゼネコンとは、一般的に「鹿島建設」「大林組」「清水建設」「大成建設」「竹中工務店」の5社を指します。
いずれも建設業界を代表する大手企業であり、給与水準や福利厚生、教育制度が充実している傾向があります。
近年は、建設業界全体で若手人材の確保が課題となっており、スーパーゼネコン各社でも初任給の引き上げが進んでいます。
2025年4月入社向けの情報では、大卒で月給30万円、修士了で月給32万円前後がひとつの目安です。
ただし、同じスーパーゼネコンでも、学歴、職種、勤務地、全国転勤の有無、現場勤務手当などによって実際の給与は変わります。初任給を比較する際は、金額だけでなく給与体系の特徴もあわせて確認しましょう。
スーパーゼネコン5社の初任給・採用給の比較表
スーパーゼネコン5社の初任給・採用給を比較すると、大学卒・学部卒で月給30万円、修士了・大学院了で月給32万円前後の水準が目立ちます。
企業によっては、手当やインセンティブ、採用区分によって実際の給与水準が変わる点にも注意が必要です。
| 会社名 | 博士了 | 修士了・大学院了 | 大学卒・学部卒 | 高専卒 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 鹿島建設 | 350,000円 | 320,000円 | 300,000円 | 280,000円 | 初任給を3年連続で引き上げ |
| 大林組 | 記載なし | 320,000円 | 300,000円 | 記載なし | 現場勤務者向けインセンティブを含めると学部卒で最大350,000円 |
| 清水建設 | 記載なし | 320,000円 | 300,000円 | 記載なし | 「初任給」ではなく「採用給」という名称を使用 |
| 大成建設 | 資料内に記載なし | 資料内に記載なし | 資料内に記載なし | 資料内に記載なし | 人的資本投資の一環として給与制度や手当を見直し |
| 竹中工務店 | 340,000円 | 320,000円 | 300,000円 | 280,000円 | 賞与よりも基本給を重視し、基本給を3年連続で増額 |
※上記は提供資料に基づく主に2025年4月入社向けの情報です。募集年度や職種、採用区分によって金額が異なる場合があります。
鹿島建設の初任給
鹿島建設の総合職の初任給は、博士了35万円、修士了32万円、大学・高専専攻科卒30万円、高専卒28万円です。
| 学歴 | 初任給 |
|---|---|
| 博士了 | 350,000円 |
| 修士了 | 320,000円 |
| 大学・高専専攻科卒 | 300,000円 |
| 高専卒 | 280,000円 |
大学卒でも月給30万円の水準となっており、スーパーゼネコンの中でも高い給与水準です。
鹿島建設では、優秀な人材の確保を目的として初任給を3年連続で引き上げており、若手人材への投資を強化していることがわかります。
大林組の初任給
大林組の2025年4月入社の新卒定時採用者について、全国型の初任給は大学院了32万円、大学卒30万円です。
| 採用区分・学歴 | 初任給・給与水準 |
|---|---|
| 全国型・大学院了(修士) | 320,000円 |
| 全国型・大学卒 | 300,000円 |
| 現場勤務者向けインセンティブを含む場合 | 学部卒で最大350,000円 |
| 拠点型職員 | 全国型職員の90%〜80% |
大林組では、2025年度から新設予定の現場勤務者に対するインセンティブを含めると、学部卒で最大35万円となります。
施工管理など現場で働く職種を志望する場合は、基本給だけでなく、現場勤務に関する手当やインセンティブも確認しておきましょう。
また、勤務地を限定する「拠点型職員」を選んだ場合、給与水準は全国型職員の90%〜80%に設定されます。全国転勤の有無によって給与水準が変わる点も、比較時に押さえておきたいポイントです。
出典:2025年4月新卒社員への初任給をアップします | ニュース | 大林組
清水建設の採用給
清水建設では、教育・育成期間としての「初任給」ではなく、入社初年度から在籍者と同レベルの給与を設定する「採用給」という名称を使用しています。
| 採用区分・学歴 | 採用給 |
|---|---|
| グローバル職・修士了 | 320,000円 |
| グローバル職・学部卒 | 300,000円 |
| エリア職 | 採用された支店の地域区分により異なる |
2025年度新卒採用のグローバル職では、修士了32万円、学部卒30万円です。一般的な初任給という表現ではないものの、実質的には新卒入社時の給与水準を示すものと考えられます。
なお、特定の勤務地や部門で働く「エリア職」の場合は、採用された支店の地域区分によって採用給が異なります。
全国勤務を前提とするグローバル職と、勤務地を限定するエリア職では給与条件が変わるため、応募前に採用区分を確認しましょう。
出典:2025年4月新卒採用者の採用給引き上げについて | お知らせ | 清水建設
大成建設の初任給
提供資料内では、大成建設本体の具体的な初任給額は確認できませんでした。
一方で、大成建設は中長期的なビジョンに基づく人的資本投資の一環として、2025年4月より順次人事制度の改定を実施しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大成建設本体の初任給 | 提供資料内に記載なし |
| 2025年4月以降の動き | 人事制度を順次改定 |
| 主な見直し内容 | 給与制度における人財への投資拡大、転勤に伴う手当の拡充など |
| 注意点 | グループ会社の初任給とは分けて確認が必要 |
給与制度における人財への投資の拡大や、転勤に伴う手当の拡充などが予定されており、若手社員の処遇改善にもつながる取り組みと考えられます。
なお、グループ会社である大成建設ICTソリューションズの新卒採用では、初任給は修士了286,000円、大学卒276,000円、短大・専門学校・高専卒266,000円とされています。
| 参考:大成建設ICTソリューションズの学歴 | 初任給 |
|---|---|
| 修士了 | 286,000円 |
| 大学卒 | 276,000円 |
| 短大・専門学校・高専卒 | 266,000円 |
ただし、これは大成建設本体ではなくグループ会社の情報であるため、スーパーゼネコン本体の初任給として比較しないよう注意が必要です。
竹中工務店の初任給
竹中工務店の総合職(全国)における2025年4月の基本給は、博士了34万円、修士了32万円、大学卒30万円、高専卒28万円です。
| 学歴 | 総合職(全国)の基本給 |
|---|---|
| 博士了 | 340,000円 |
| 修士了 | 320,000円 |
| 大学卒 | 300,000円 |
| 高専卒 | 280,000円 |
竹中工務店は、業績によって変動しやすい賞与よりも、安定的に支給される基本給を重視する方針を掲げています。その方針のもと、基本給の増額を3年連続で行っている点が特徴です。
また、勤務地を限定する「総合職(地域)」の場合、2年目以降の昇給は総合職(全国)の90%程度に設定されます。
| 採用区分 | 給与面の特徴 |
|---|---|
| 総合職(全国) | 全国勤務を前提とした給与水準 |
| 総合職(地域) | 2年目以降の昇給は総合職(全国)の90%程度 |
将来的な昇給や勤務地の希望も含めて、全国型と地域型の違いを確認しておくことが大切です。
スーパーゼネコンの初任給を比較する際のポイント【手取りも要チェック】
スーパーゼネコン5社の初任給を見ると、大学卒で30万円、修士了で32万円という水準がひとつの目安になっています。
単純な初任給の金額だけを見ると大きな差は出にくいため、給与以外の条件もあわせて確認しましょう。
- ✓ 基本給のみの金額か、手当やインセンティブを含む金額か
- ✓ 全国型・地域型・エリア職など、採用区分による給与差があるか
- ✓ 現場勤務手当やインセンティブが支給されるか
- ✓ 全国転勤の有無や転勤手当の内容
- ✓ 2年目以降の昇給、賞与、モデル年収、働き方の違い
| 比較項目 | 確認したいポイント |
|---|---|
| 基本給と手当 | 基本給のみの金額か、手当やインセンティブを含む金額か |
| 採用区分 | 全国型・地域型・エリア職などで給与差があるか |
| 現場勤務の手当 | 現場勤務手当やインセンティブが支給されるか |
| 転勤の条件 | 全国転勤の有無や転勤手当の内容 |
| 昇給・賞与 | 2年目以降の昇給や賞与、モデル年収 |
| 働き方 | 勤務地、配属職種、休日、残業時間など |
スーパーゼネコンは初任給の水準が高い一方で、全国転勤や現場配属、大規模プロジェクトへの参加など、働き方にも特徴があります。
給与額だけでなく、勤務地、職種、キャリアパス、福利厚生まで含めて比較することが、入社後のミスマッチを防ぐポイントです。
ゼネコンの初任給は「全国型」と「地域型」で変わる?
スーパーゼネコンでは、全国転勤を前提とする「全国型」「グローバル職」と、勤務地を限定する「地域型」「エリア職」「拠点型職員」などの採用区分を設けている企業があります。
全国型と地域型では、勤務地の範囲や転勤の有無が異なるだけでなく、給与水準や昇給額に差がつく場合があります。
以下の資料に基づくと、具体的な差が明記されている企業では、地域型の給与水準は全国型の80〜90%程度がひとつの目安です。
出典:働き方について|新卒採用情報
出典:募集要項|竹中工務店 新卒採用情報
出典:新卒採用募集要項|清水建設株式会社
ゼネコンの初任給が高い理由
ゼネコンの初任給は、他業界と比べて高めに見えることがあります。
背景には、建設業界の人材不足や若手人材の確保、現場を支える技術者の育成などがあります。ここでは、ゼネコンの初任給が上がっている理由を解説します。
- ✓ 建設業界で若手人材の確保が重要になっている
- ✓ 施工管理・技術職は現場を支える責任が大きい
- ✓ 大規模工事や都市開発など専門性の高い案件を担う
建設業界で若手人材の確保が重要になっている
建設業界では、技能者や技術者の高齢化が進み、若手人材の確保が課題となっています。
そのため、各社は初任給の引き上げや福利厚生の充実によって、新卒採用での競争力を高めています。
施工管理・技術職の責任が大きい
ゼネコンの技術職は、工程管理、品質管理、安全管理、原価管理など、工事全体を支える重要な役割を担います。
入社後すぐに現場で経験を積むことも多く、責任の大きさが給与水準に反映されていると考えられます。
大規模工事や都市開発を担う企業が多い
スーパーゼネコンや大手ゼネコンは、オフィスビル、商業施設、道路、橋梁、トンネル、再開発事業など、大規模な建設プロジェクトを手がけます。
案件規模が大きく、高い専門性が求められる点も給与水準に影響します。
ゼネコンの初任給を見るときの注意点
初任給だけを見て就職先を決めると、入社後にギャップを感じる可能性があります。
月給の金額だけでなく、手当、残業代、賞与、勤務地、働き方なども含めて確認することが大切です。
- ✓ 基本給のみか、手当込みの金額か
- ✓ 残業代が別途支給されるか、固定残業代を含むか
- ✓ 賞与・昇給・モデル年収まで確認できるか
- ✓ 勤務地・転勤・現場配属の条件が希望に合うか
基本給と手当込みの金額を分けて確認する
募集要項に記載されている金額が、基本給のみなのか、手当を含む金額なのかを確認しましょう。
住宅手当や現場手当、勤務地手当などが含まれている場合、実際の給与の内訳がわかりにくいことがあります。
残業代が別途支給されるか確認する
施工管理などの職種では、繁忙期や現場状況によって残業が発生することがあります。
固定残業代が含まれるのか、残業代が別途全額支給されるのかによって、実際の手取りや働き方の印象は変わります。
賞与・昇給・年収モデルも確認する
初任給が高くても、賞与や昇給の幅が小さい場合、長期的な年収では差が出ることがあります。
就職先を比較する際は、初任給だけでなく、30歳・35歳などのモデル年収や昇給制度も確認しましょう。
勤務地・転勤・現場配属の条件を見る
ゼネコンでは、全国転勤や現場ごとの異動が発生することがあります。
給与が高くても、勤務地や転勤の条件が自分の希望と合わない場合は、働き続けるうえで負担になる可能性があります。
ゼネコンの初任給は高い?他業界・建設業界内で比較
ゼネコンの初任給は高いといわれることがありますが、比較対象によって見え方は変わります。
ここでは、一般的な新卒初任給や建設業界内の職種と比較しながら、ゼネコンの給与水準を整理します。
一般的な新卒初任給との比較
大手ゼネコンの初任給は、一般的な大卒初任給と比べて高めに設定されているケースがあります。
ただし、現場勤務や転勤、残業の有無など、働き方の違いもあるため、金額だけで判断しないことが大切です。
ハウスメーカー・サブコンとの比較
建設業界には、ゼネコンのほかにハウスメーカー、サブコン、設計事務所、建設コンサルタントなどがあります。
初任給は企業規模や職種によって差があるため、同じ建設業界でも複数の業態を比較するとよいでしょう。
中堅・中小ゼネコンとの比較
中堅・中小ゼネコンは、スーパーゼネコンに比べると初任給が低い場合もあります。
一方で、地域密着型の働き方ができる、早くから幅広い業務を経験できる、転勤が少ないといったメリットもあります。
- ✓ 一般的な新卒初任給と比べると、大手ゼネコンは高めの傾向がある
- ✓ ハウスメーカーやサブコンなど、建設業界内でも業態によって差がある
- ✓ 中堅・中小ゼネコンは給与だけでなく、働き方や経験できる業務も比較する
初任給が高いゼネコンを選ぶときのポイント
初任給の高さは就職先選びの重要な要素ですが、それだけで判断するのは危険です。
長く働くためには、給与だけでなく、仕事内容や教育制度、働き方、キャリアパスまで確認しましょう。
給与だけでなく仕事内容とのバランスを見る
初任給が高くても、仕事内容や働き方が自分に合わなければ、入社後にミスマッチが起こる可能性があります。
施工管理、設計、土木、設備、事務系など、自分がどの職種で働きたいのかを明確にしましょう。
研修制度・資格取得支援を確認する
ゼネコンでは、建築士、施工管理技士、技術士などの資格取得がキャリアアップにつながります。
研修制度や資格取得支援、受験費用の補助、資格手当の有無を確認しておくと安心です。
休日・残業・福利厚生も比較する
建設業界では、働き方改革の影響により休日制度や残業時間の見直しが進んでいます。
完全週休2日制、現場の休日取得状況、社宅・寮、住宅補助、帰省旅費なども比較しましょう。
- ✓ 初任給の高さだけでなく、仕事内容が自分に合っているか
- ✓ 研修制度や資格取得支援が整っているか
- ✓ 休日・残業時間・福利厚生まで比較できているか
- ✓ 将来のキャリアパスや昇給制度を確認しているか
ゼネコンの初任給に関するよくある質問
ゼネコンの初任給は大卒でいくらですか?
ゼネコンの大卒初任給は、企業規模や職種によって異なります。大手ゼネコンでは月給30万円前後の企業もあり、中堅・中小ゼネコンではそれより低い水準になることもあります。
スーパーゼネコンの初任給は高いですか?
スーパーゼネコンの初任給は、建設業界の中でも高めの水準といえます。
ただし、手当や賞与、残業代、勤務地、転勤の条件によって実際の待遇は変わるため、募集要項を細かく確認しましょう。
ゼネコンは初任給だけで選んでもよいですか?
ゼネコンを初任給だけで選ぶのはおすすめできません。
給与の高さに加えて、仕事内容、勤務地、残業、休日、教育制度、資格取得支援、将来のキャリアパスを総合的に比較することが大切です。
文系でもゼネコンに就職できますか?
文系でもゼネコンに就職することは可能です。
事務系総合職では、営業、総務、人事、経理、法務、調達などの職種があります。技術系職種は理系・建築系・土木系の学部学科が対象になることが多いため、募集要項を確認しましょう。
まとめ|ゼネコンの初任給は高めだが、総合的な待遇で比較しよう
ゼネコンの初任給は、大手企業を中心に高めの水準となっています。
特にスーパーゼネコンでは、大卒初任給が30万円前後に設定されているケースもあり、建設業界を志望する学生にとって魅力的な条件といえるでしょう。
ただし、就職先を選ぶ際は初任給だけでなく、仕事内容、残業、休日、勤務地、転勤、福利厚生、資格取得支援、将来の年収まで確認することが大切です。
給与と働き方のバランスを見ながら、自分に合ったゼネコンを選びましょう。